税務職員が税務調査の流れを解説します【税務調査の基本】

こんばんは、(元)税務職員の氷犬です。

※2018年7月までは現役の税務職員です。

 

SNSやブログを見ていると、「確定申告や税務調査について不安を持っている人が多いな」という印象を受けます。

それもそのはずで、税金や税務調査については、国がわかりやすいマニュアルやWebサイトを用意しておらず、インターネットで調べても「わかりやすくて正確な情報」を探すのは難しいです。

 

さらにSNSでは、

「税金はしっかり申告しておかないと税務署に目をつけられて大変なことになる」

「利益のほとんどが税金で持っていかれる」

など、言い過ぎにも思える発言も見られ、これでは税金について不安に思う人が多いのも頷けます。

 

そこで、今回は所得税・消費税の「税務調査の内容と流れ」について、(元)税務職員である僕がなるべく丁寧に解説したいと思います。

こんな人におすすめ

  • 税務調査を受けたことがない人
  • ブロガー・アフィリエイター
  • 万が一に備えて、税務調査の知識をつけておきたい人

 

この記事は「入門編」なので、途中で有料noteに案内することはありませんし、特に何かを買ってもらうこともありません。

 

つまり、「完全無料」ということです(^_^)/

 

無料とはいっても、初心者の方にはすごく役立つ内容になっていると思います!

この記事を読んで「税務調査」についての知識を深めていただければ嬉しいですm(_ _)m

 

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この記事を書いたきっかけ【自己紹介】

僕はこれまで5年間税務署で働き、うち3年間を個人で事業をしている人の所得税・消費税の税務調査を担当しました。

日頃から「税金について教育されてないのに、いきなり確定申告させられて、その上調査までされるのって嫌だろうな」と思うことが多かったです。

 

そして、僕は2017年10月から仮想通貨投資、2018年1月からブログを始めました。

 

仮想通貨界隈やブロガー/アフィリエイター界隈の方のツイートを見ていると、税金のことで不安に思っている人は多いらしい。

税務調査を受けた人の体験談なんて少ないし、税務調査を解説している記事も少ない。

そもそも税務調査を「受けた側」の記事だから、「受けた側の主観」で記事が書かれている。

 

「これは問題だなぁ」と思い、この記事を書くに至ったわけです。

 

僕は税理士資格を持っていないので、個別具体的なことについては回答できないものの、一般論であればいくらでも書けます。

実際に「税務調査や指導をする側だった」わけですから。

 

そんなわけで熱い思いを持ってこの記事を書きました!(^_^)/

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いですm(_ _)m

 

あらかじめ体験談を読んでおくといいかも

実際に調査を受けないと具体的なイメージが沸かないかもしれないので、事前に「税務調査の体験談」を読んでおくといいかもしれません。

 

そもそもなぜ税務調査をするの?

個人で事業をしている人は、1年の売上と経費から利益を計算して、次の年の2月16日から3月15日までの間に所得税の申告と納税をする必要があります。

この1年間の利益を申告する手続きを「確定申告」といいます。

 

確定申告はあくまでも「自主申告」なので、やろうと思えば赤字をマイナス5億円と申告することもできてしまいます。

しかし、そんなことをされてしまっては自主申告の制度=「申告納税制度」の基盤が揺らいでしまうので、正しく申告してもらうために国税組織は「税務調査」を行っています。

 

もし、申告内容が間違っていれば正しい内容に直させ、悪質であれば重加算税をかけたり、告発したりします。

 

つまり、「申告納税制度の維持」のために税務調査をしているわけですね。

 

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誰が税務調査をするの?

(※画像はイメージです。)

税務調査をする人のことを「税務調査官」といいます。

 

税務調査官は税務署と国税局に配属されていて、日々税務調査をしています。

 

ちなみに、税務署と国税局の違いはこんな感じです。

税務署と国税局の違い

税務署:配属したてからベテランまでいろいろな職員がいる。国税局と比べて扱う調査の事案はライトなことが多い。「税務調査の体験談」で書かれているのは、ほとんど税務署の話。

国税局:資料調査課と査察部門がある。ヤバい。
※過去に資料調査課にいた人と話したことがありますが怖かったです。

ほとんどの場合、皆さんのところに来るのは「税務署の調査官」です。

 

実際の税務調査の流れ【必見】

税務調査の流れはこのようになっています。

 

税務調査の流れ

  1. 調査の予約・日程調整(事前連絡)
  2. 自宅か署で面接(臨場調査)
  3. 申告内容の確認・質問
  4. 反面調査(※場合による)
  5. 調査結果の説明
  6. 修正申告の勧奨・提出
  7. 延滞税や加算税の賦課

言葉がわかりにくいと思いますが、細かく解説していきますので安心してくださいm(_ _)m

 

期間については、早ければ1か月、長ければ半年かかることもあります。

その間、だいぶストレスになるとは思いますが、一種の手続きなので耐えるしかないですね(-_-;)

 

1:調査の予約・日程調整(事前連絡)

税務調査を受ける前には、大抵事前連絡があります。

 

連絡方法は主に電話です。

事前連絡の段階では、「日程の調整」「場所」「何年分の申告を見るのか」「用意しておく書類」などについて説明されます。

 

「〇〇税務署の△△と申します。申告内容の確認の件でご連絡させていただきました」

「所得税の調査をさせていただきたいのですが、いつであれば都合がよろしいでしょうか?」

「実際に自宅にお伺いして、お仕事のお話を聞きながら書類などを確認させていただきたいのですが」

「今回は平成〇年分から平成◇年分の所得税と消費税について確認いたしますので、その年分の帳簿や請求書、領収証と銀行の通帳などをひととおり用意しておいてください」

など。

 

◇日程の調整

税務署は平日しか仕事をしていないので、必然的に平日に調査を受けることになります。

会社勤めや他の仕事をしていると日程の調整も一苦労だと思いますが、調査を受けることは義務なのでなんとかして休みを取るしかありません…。

 

◇調査を受ける場所

調査を受ける場所は大抵自宅になります。

税務署で調査を受けることもできますが、「書類がない」ということになったら何度か往復することになってしまうので、調査の期間が延びる傾向にあります。

 

◇調査の対象となる期間

通常、3年間分の調査を受けることになります。

たとえば、平成27年から平成29年の3年間のように。

もし、一切確定申告をしていなければ5年前まで遡れるので、その場合は平成25年から平成29年の5年間になったりします。

途中で意図的な不正が見つかったり、悪質だと判断されたりすると、最大で7年間になりますので注意してください。

(まあ、この記事を見ている人で不正をしようとしている人はいないと思いますが)

 

2:自宅か署で面接(臨場調査)

事前に約束していた日に、調査官と会って話をすることになります。

(ここから先、調査場所は「自宅」という前提で話を進めていきます)

 

実際に話す内容はこんな感じです。

調査当日に話す内容

  • 出身・家族構成・趣味などの雑談
  • これまでの仕事の経歴
  • なぜ、今の仕事をしているのか
  • 仕事の流れ(受注から決済まで)
  • 書類の管理・保存の仕方
  • 帳簿の付け方 など

「何を聞かれるか」については、仕事の内容によって変わります。

 

つい、自分にとって都合の悪いことは隠したり、嘘をつきたくなったりすると思いますが、ここで変に嘘を付かれると後々バレたときに面倒になりますので、正直に話した方がいいですね。

まあ、聞かれていないことまで全部話す必要はないと思います(彼女ができない理由とか)。

「最初に帳簿とか請求書とか見るんじゃないの?」と思うかもしれませんが、書類なんていつでも確認できるので、まずはじっくり話を聞かれます。

 

書類を見るのは話が終わってからなので、1時間以上話しっぱなしということもあります。

 

3:申告内容の確認・質問

仕事について、ひととおり話を聞かれた後、書類などの確認に移ります。

調査で確認されるものの例

  • 帳簿(総勘定元帳や現金出納帳など)
  • 請求書
  • 領収書
  • 銀行の通帳
  • 仕事のメモ
  • スマホ・パソコンのデータ など

文字通り「何もかも見られる」と思った方がいいかもしれません。

特にブログやアフィリエイトをやっている人は、書類として保存しているものよりもデータで保存しているものが多いはずなので、パソコンやスマホも確認の対象となる可能性が高いです。

 

実際に仮想通貨の件で税務調査を受けた人が体験談を書いていたので、こちらも読んでおくといいでしょう。

 

書類やデータ、帳簿などを申告内容と突き合わせ、合っていないところがあればトコトン追及されます。

「なぜ、請求書の数字が帳簿に上がっていないのか」

「経費の中で領収証のないものが計上されているのはなぜか」 など。

 

合っていないところが多ければ多いほど質問も多く、かつ、調査官の口調もきつくなってくるので気を付けましょう。

調査官も遊びで調査しているわけではないので、正確に申告されていなければ厳しい目で見ることになります。

場合によっては、態度を変えてタメ口になることもあるかもしれません笑

 

4:反面調査

手元に書類がなかったり、申告内容と合わないものがある場合については、反面調査をされることもあります。

反面調査とは

仕事の取引先に取引内容の確認をすること。

書類で照会することもあれば、実際に取引先に行って確認することもある。

黙って反面調査されることはあまりないとは思いますが、事前に確認することは義務ではないので注意してください。

 

やはり手元にある書類で申告内容と違うところがあると、事実を確認するために反面調査をされることがあります。

「取引先に信頼されなくなって仕事をもらえなくなる」という心配もあるかもしれませんが、それぐらい税務調査は厳しいものなのです。

 

5:申告内容との突合・確認

調査官はここまで集めた書類や話の内容などから、「申告された内容が本当に正しいのかどうか」を確認します。

  1. 売上は正しく計上されているか
  2. プライベートな支出が経費になっていないか
  3. 家賃や水道光熱費は正しく家事按分されているか
  4. 架空の経費が計上されていないか
  5. 売上や経費の計上時期はズレていないか
  6. 本人が話している内容と申告内容にズレはないか など

ひたすら矛盾している点がないかを確認した後、間違っているところがあれば正しい内容に直して確認することになります。

「申告内容を確認したところ、〇〇と△△が間違っていたので直してもらいます。一旦確認してもらえますか」

 

もちろん、調査を受ける側としても言い分はあると思うので、疑問に思うところがあれば何でも聞いてみましょう。

「調査官に言われたことを直す」のが調査ではなくて、「申告内容の確認」が調査なので、自分が違うと思ったら反論してもいいです。

自分がしている仕事は自分が一番よくわかっていますからね。

 

6:調査結果の説明

最終的に正しい数字が確定したら、調査結果の説明を受けることになります。

結果の説明とはいっても何てことはなく、これまでの内容を再確認するだけです。

申告内容に間違いがなければ、ここで調査は終了となります。

お疲れさまでしたm(_ _)m

 

7:修正申告書の勧奨・提出

もし、ここまで調査をした結果、申告内容に間違いがあれば、修正申告をする必要があります。

売上の計上もれがあったり、経費を多く計上していたりすると、利益を少なく申告していることになるので、調査で直されると税金が増えます。

一応、修正申告は「自主的に提出する扱い」なので、必ずしも提出する必要はないのですが、その場合「更正・決定」という処分を受けることになるので、修正申告した方がよいとは思います。

※処分とはいっても逮捕されるわけではありません。

 

ちなみに、調査の結果発生した税金については早めに払いましょう。

一括で納付するのが原則ですが、分割の場合は税務署の「徴収部門」で納付相談をする必要があります。

 

8:加算税・延滞税の賦課

調査の結果、税額が増えると増えた税額に応じて「加算税」という罰金のようなものがかかります。

また、本来の申告期限の3月15日までに払っていない税金の分だけ、「延滞税」という利息がかかることもあります。

加算税の種類と税率

過少申告加算税:既に申告している内容から、調査の結果税額が増えた場合にかかる。税率は10%。

無申告加算税:調査を受けるまで申告していなかった場合にかかる。税率は15%。

重加算税:不正をしていた場合にかかる。税率は過少申告で40%、無申告で45%。

※加算税は最低5,000円からかかるので、たとえば過少申告加算税は税額が50,000円以上増えると課税されます。

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調査をされる理由については教えてくれない

事前連絡から調査を終えるまで、「調査をされる理由」については教えてくれません。

あくまでも「申告内容の確認」ということで、たとえば「〇〇の経費について」など、具体的なことについて調査官が回答する義務はないからです。

 

「理由を教えてくれなければ調査は受けません」という態度を取ると、税務署は先に反面調査をしたり銀行に紹介をかけたりして、外堀から埋めていくことになります。

結局困るのは自分自身なので、税務調査の連絡があった時には素直に受けた方がいいと思います。

 

税務調査を受けないためには「正しく申告すること」

「調査理由」については教えてくれませんが、やはり調査を受けるにはそれなりの理由があります。

別にダーツとかで調査する人を選んでいるわけではないので、調査の連絡があった時には「指摘を受けそうなこと」をあらかじめ考えておくといいですね。

「何を聞かれるか」を想定しておけば話もスムーズに行きますし、書類がないとあたふたすることもなくなるからです。

 

正しい申告をしていれば税務調査を受ける理由もなくなりますし、もし調査をされることがあっても後ろめたいところがないので、落ち着いて対応することができます。

 

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税金のことを知らないと損をする

僕が職員として5年間働いた感想ですが、サラリーマンでも事業をしている人でも、税金のことを知らないと損をするケースがすごく多いです。

税務調査も「知らないと損をする」ケースの1つと言っていいでしょう。

正しく申告できていなければ、調査の流れを知らなければ、数字的な意味でも心理的な意味でも損をします。

 

「正しい申告ができているかどうか」を判断するためにも、税理士に依頼するか、常日頃から自分で税金の勉強をしておくとよいでしょう。

↑要するに「本を読め」という記事です笑

 

「税務調査の流れ」まとめ

POINT!

  • 税務調査を受ける前には事前に連絡がある
  • 何から何まで確認される
  • 嘘を付かないのが大事
  • 税金が増えたら加算税と延滞税がかかることもある
  • 国税局が来たらヤバい

 

質問を受け付けます(Q&A)

この記事を読んで聞いてみたいことがあれば、僕のTwitter(@icedog_410)までリプライかDMをいただければ、できるだけ回答します(^_^)/

いただいた質問と回答については、こちらに掲載したいと思いますので、気になったら確認してみてください。

なお、あまりにも具体的な質問・守秘義務違反になる質問については回答できませんのでご了承くださいm(_ _)m

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