SEOコンサルティングというビジネスの市場が縮小していく理由

こんにちは、氷犬(@icedog_410)です。
普段は都内のSEOコンサル会社でコンサルタントとして、クライアントのSEOやWebマーケティングの支援をしています。
ひとつ、SEOコンサルティングの仕事をする中で思うことがあります。
それは、「SEOコンサルティングというビジネスは、近い将来なくなるのではないか?」ということです。
なくなることはないかもしれませんが、少なくとも市場自体は小さくなりつつあります。
このブログ・アフィリエイトの副業時代にSEOの注目度が増している中、「SEO」の市場自体が小さくなっているというのは驚くべきことではないでしょうか。
僕自身、SEOコンサルとして働いていて、SEOコンサルという市場は今後厳しくなっていくことが実感としてあります。
そこで、この記事では、「SEOコンサルというビジネスの市場が縮小している理由」から、「今後のWebマーケティング業界の展望」までを書きました。
- これからWebマーケティング業界で働きたいと思っている方
- 個人でSEOのコンサルをしようと思っている方
こんな方には、特に参考になる内容のはずです。
それでは、早速見ていきましょう。
SEOコンサルティングというビジネスの市場が縮小していく理由
結論から書くと、「SEOで成果を出すためには、SEO以外の要因が大きく関わるようになってきたから」です。
SEOの定義は人それぞれかと思いますが、一般的なSEOの認識は以下のようなものでしょう。
- キーワードを選定する
- 自社サイトに人工リンクを貼る
- ページを大量生産する
- SEO業者に頼む(だけ)
いわゆるスパム全盛期のSEOの認識は、未だに根強く残っています。
ここ3~4年で多少は良い方向に向かいつつあるかと思いますが、それでも「SEO=業者に頼んで順位を上げるもの」というイメージが残っているのも事実。
ただ、今のSEOはすることが多くて、本当に手間のかかるものになったのです。
今のSEOには何が求められているのか?
「どこまでSEOに注力するのか」にもよるのですが、パッと思いつくアクションは以下です。
- キーワードを選定する
- 検索結果をリサーチする
- 検索意図に合わせたコンテンツを制作する
- サイト内のタグを最適化する
- 適切な内部リンク構造を構築する
- サイトの専門性や信頼性を高める
- サイト内のユーザー行動を分析する
- SNSを活用する など
もはやどこまでがSEOなのかと思うくらい、SEOの範囲は広がっています。
ブログやアフィリエイトをしている方には当たり前の内容かもしれませんが、すべてを漏れなく高い水準で実施するのはかなり難しいことです。
できることが多い分、「逆に何をしないのか」を決めなければなりません。例えば、「細かいデザインの調整に時間をかけるのはやめる」「競合が強すぎるキーワードは狙わない」など。
SEOの範囲が広がり続ける状況の中でも、SEOコンサルは成果を出すのが仕事ですから、成果を出すことを求められます。
成果が出しにくい中で成果を出さなければならない。そして、クライアントもそれについていかなければならない。大変な時代です。
“SEO対策”には向かい風が吹いているという話
SEOは昔も今も有効な集客方法だと思います。
ただ、昔と今が違うのは、ハック的な手法が徐々に通用しなくなってきたという点です。
かつてのGoogle、検索エンジンにはハックが通用していました。
- 大量にサテライトサイトを作り、上げたいページへとリンクを貼る
- ページランクの高い中古ドメインを買いあさり、リンク元とする
- とにかくキーワードを詰め込む
- 長文のコンテンツを大量に生産する など
Googleのアルゴリズムが今より未熟だった頃は、評価指標がシンプルだったので、その評価指標を見つけてハックすれば上位表示が容易だったんですね。
特にキーワードの詰め込みや、大量の人工リンクは有効で、昔のSEO業者といえば「人工リンクの卸業者」という要素がありました。
ただ、そんなハックがいつまでも通用するわけもなく、Googleによるアルゴリズムアップデートや手動ペナルティによって次々と潰されてきました。
今でもハックはできますが、それはイタチごっこであり、長く通用することはありません。個人ならまだしも、企業ドメインでハックするのはリスクが高すぎます。
いわゆる”SEO対策”への向かい風は一層強さを増しているといえるでしょう。
現実の評判が検索結果に反映されるようになった
Googleが目指しているのは、「現実の評判と検索結果をリンクさせること」です。
例えば、有名企業が運営しているサイトと、無名の個人が運営しているサイトでは、相対的に前者の方が評価されるようなアルゴリズムになっています。
それは主にリンクの質であったり、エンティティと呼ばれるものが形成されていたりするからですが、至極真っ当な仕組みであるといえます。
どこの誰が運営しているかもわからないサイトの情報を信じた個人に危害が及んだら、評判を落とすのはそのサイトを上位表示させたGoogleですからね。
(有名企業が運営しているからといって真っ当であるとは限らないのですが、その議論はまたの機会に)
要するに、いくら”SEO対策”をがんばっても、ユーザーに知られていない企業が超有名企業に検索で勝つのは非常に難しいのです。
「SEO対策をすれば…」と思っている企業には残酷ですが、中小企業にとってのSEOは着実に厳しくなっています。
ユーザーのリテラシーは向上し、すぐコンバージョンしなくなってきた
検索は、マーケティングファネルAISASで言うところの「Search」であり、比較的モチベーションの高い行動です。
しかし、現代のユーザーはリテラシーが高く、検索のみならずSNSからも積極的に情報を収集しています。むしろ、SNSから得ている情報の方が多いかもしれません。
そのため、「知らないブランドからはモノを買わない」「知らないサイトからはモノを買わない」という姿勢になってきており、検索一強だった時代よりコンバージョンしにくくなっています。
ユーザーの購買行動における検索の位置付けが時代と共に変わっているんですね。
SEOは重要なチャネルのひとつですが、「SEOに注力すれば…」という時代でもなくなってきたのです。
工数の割にSEOは予算が小さくなりがち
これまで書いてきたようにSEOは成果が出るまでに相当の工数がかかりますし、また、維持し続けるのにもリソースが必要です。
しかし、SEOに対して必ずしも十分な予算が割かれるかというと、決してそうではありません。
なぜか?